トラックナンバーを減らす方法

トラックナンバーという言葉があります。
プロジェクトのメンバーの内、トラックに轢かれるとプロジェクトが継続困難になる人数。人数が少ないほどリスクが高まる。
情報共有や共同開発を活発に行うと増加するため、 XP ( eXtreme Programming ) のメリットのひとつとして引き合いに出されることが多い。
例:プログラムの実装を一人で行っている→トラックナンバー1

http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%C8%A5%E9%A5%C3%A5%AF%A5%CA%A5%F3%A5%D0%A1%BC#related-blog
洒落にならない言葉ですが、トラックナンバーが高いプロジェクト、職場は日本の至るところにあると思います。

私もよく、明日から自分や仕事のできるあの人が来なくなったらこのプロジェクトどーなるんだろーとか考えたりします。


トラックナンバーだとブラックなニュアンスになるため、ハネムーンナンバーという呼び方もあるそうです。

プロジェクトのメンバーのうちハネムーンに行かれると立ち行かなくなる人数ですかね。
新婚なのにプロジェクトが炎上しててまったく家に帰れなかった人とかいたなあ…

トラックナンバーはなぜ増える

そもそもなぜトラックナンバーは増えてしまうのか?

IT業界ではよく、人月商売で個々のプログラマの実力に寄らず単価が横並びだなんて話がありますが、それはあくまでプロジェクト上のコスト計算の話で、それぞれの作業内容、作業負荷には歴然とした差があります。

仕事のできる人は、仕事の量も難易度も増えていきます。
比例して、その人の持つ技量と情報量も増え、さらに仕事が集中する循環が生まれます。

一見貧乏くじを引かされてるようにも見えますが、やってる本人にとってはそうとも限りません。

パターン1:向上心が高い

向上心が高く仕事を通して、どんどん自分を高めていきたいようなタイプの人ですね。
このタイプは自分に高度な仕事が集中するのを歓迎し、どんどん手を挙げて仕事を巻き取ってさらに成長していきます。

成果主義的な組織ではこういう人は重宝されるし、給与にもダイレクトに跳ね返るのでさらに本人のやる気にブーストがかかります。

ただし、向上心ゆえに仕事の難易度や給与が頭打ちになると組織に見切りをつけて次のステップに移ってしまうでしょう。

パターン2:ワーカーホリック

ワーカーホリック(仕事中毒)な人です。

仕事を中心に生活が回っている人、仕事以外に趣味や人間関係がほとんどない人。
こういう人は、仕事に悪い意味でプライドを持っており「この仕事は自分にしかできない仕事だ」みたいな自負がその人の心の支えになってることが往々にしてあるため、なかなか自身の抱える重要な仕事を手放しません。

重要な仕事ができなくなること、仕事ができない人間と思われることはその人にとっては死活問題だからです。

パターン3:引き継げない

これは、オーバーワーク過ぎて引き継ぐような時間が取れなかったり、そもそも引き継ぐ相手がいなかったりする場合です。

気が弱い人、優しい性格の人に多い傾向があるように感じます。
誰かやらなきゃいけないけど誰もやりたがらないような仕事を押し付けられていることも多いので、万一その人が抜けるととても困ります。
どのタイプもある程度業務遂行能力が高いことが前提です。
そもそも仕事できる人でなければ高度な仕事は振られないですから。

トラックナンバーを減らすには

では、トラックナンバーを減らす(仕事の属人化を解消する)にはどうすればよいのでしょうか。
ちょっと考えてみます。

教えることや知識を共有することへのインセンティブの低さ

よく言われるのはナレッジマネジメントです。

個々の持つ業務知識をデータベース化して組織全体に共有するようなことですね。

というわけで、社内Wikiを開設したよ!
さあみんな自分の知ってること全部書いて!資料化して!

といってハコモノだけ用意しても誰も書かないでしょう。

先のパターン1と2の場合はそもそも共有することにメリットを感じていませんし、パターン3の場合はそんなの書いてるヒマがありません。

既にナレッジを持っている人にとって、社内のクローズドな人間関係に共有することへのインセンティブが働かないのです。

エンジニアならブログやQiita、GitHubなどインターネットに公開して、自身の評価につなげた方がよほど得です。

言語化資料化のスキルを皆が持ってるわけでもないし、そもそも高度な仕事のノウハウは資料化しづらいです。

かくして社内Wikiは過疎って誰も見なくなっていくのでした。

自動的にナレッジが溜まるような仕組みをつくる

では、どうすればよいのでしょうか。

業務従事者にナレッジをアウトプットさせようとするから難しいのであって、別の誰かにアウトプットさせることが答えのように思います。

各担当者の業務や成果物をヒアリングして、業務内容や技術をナレッジデータベース化する専門部隊を組織に用意するのです。

業務の一環として詳細にヒアリングされれば、担当者も邪険にはできないはずです。

そうやって採集し、アウトプットされたナレッジは、RPAなどの業務自動化を導入する足掛かりにもなるはずです。
替えが効かない人材になるのは、個人の生存戦略として重要ですが、持続的な組織としてはそういう人材を生み出してはいけません。

個人の利益と組織の利益が一致しない一例といえるでしょう。