IT客先常駐

増田でこんな記事を見つけた。


IT客先常駐のイメージは私が新卒でSES会社から派兵されてた10年前から変わらないんだなーという感想とともに、いや今はそんな酷くなくないか?って感想も沸いてきた。

というわけで、ここ10年のSESの中と外で関わりで観測してきた私の思う客先常駐(リモートも含め)について書いてみようかと思う。

ちなみに私はSES(中小)⇒SIer(JTC)⇒SIer(新興系)って感じの経歴で外資系は知りません。

客先常駐のここが嫌だ?

給料が安い
まあ確かに私も安かったです。ワープアレベルの年収しかなかった。
ただし、それは在籍してた会社がそんなに稼げてなかったからってのもあるかも、会社によっては多少の幅が当時もあったし、私の単価安かったし。

今は高還元SESとかフリーランスとして入る方法もあるから昔ほどピンハネされてないんじゃないかなって思う。
エンジニア不足で単価高いしね。月80万払ってようやく普通のPGが入るか入らないかって感じだもん。
客先ガチャだ
まあそれはホントそう。ただし会社によっては辞められたくないから多少選ぶ段階で融通利かせたり撤退したりしてくれるところもある。
特に最近は使ってると一方的に契約切られたり、延長断られたりすることもありますね。当然そんなことされたらその会社に次も頼もうって気なくなりますが。
客先のパワハラは防げない
いや、今のご時世コンプラうるさいですよ。
SES営業もそういう相談に乗って発注先に言いにくいこと言ったりする場合もあるし(現場に入ってる別の会社のSESの人がヤバくて相談があったりしたことも)。

確かに昔は発注側が圧倒的に強くて、そこで務めてる社員らも選民意識がある人が一定数いて、マジで『予告犯』の序盤のシーンみたいなのは色んな現場で横行してたと思う。
歳を取れば解雇かも
それは今のご時世なんの仕事やっててもあるんじゃないかしら。
長く活躍するにはキャリアとスキルを増やして組み合わせていくしかないんじゃないのかな。
仕事への愛着がなくなる
これも現場によりけりで10年以上同じ現場で働き続けてて、プロパーよりそのシステムについて詳しい人を観測したことがあります(良い悪いは置いといて)。
人のせいにする技術の向上
人によります。プロパーよりも責任もって取り組んでくれるありがたい方もいますし、どこにでもクズはいます。

良い人は常駐先に引き抜かれるっていうこともタブーではありますがよく聞く話。

客先常駐をやるメリット、デメリット

前述に加え私が考えるメリットデメリットを。

メリット

色んな現場が経験できるかも

前述の現場ガチャはあるものの発注側にいるより色んな現場を経験できる可能性があります。
ITの現場は本当に会社によって千差万別です。
そこで働く人たち、プロジェクト管理、利用ツール、プログラミング言語、業務知識、etc…。
どうしても一つの現場にいるとそのあたりが固定化されていきがちなので、ガチャを回して次の現場に行きやすいSESは色んな会社の文化を学べる可能性があります。

現場が変わると通勤場所が変わって昔は辛かったのですが、最近はリモートOKの現場も増えてますしね。

ある程度責任を負わずに済むかも

無責任に仕事をしてもいいというわけではないのですが、やはり派遣で来ている以上本当の責任は負わずに働くことができます。
なので身の危険を感じたらその現場からは離脱することも会社次第ですが割と簡単です。
このため発注側もSESに依存しない体制づくりを常に考える必要があります。

デメリット

スキルが固定化するかも

色んな現場が経験できるかもと書きましたが、発注側は経歴やスキルセットを重視して発注するため、Javaをやっている人にPythonもやらせてみようとか、プログラマしかやったことがない人に設計をやらせてみようとかそういう発想に基本はなりません(まあ、人がいなさ過ぎてそういうのお願いすることもなくはないんですが…)。
これがプロパーなら成長してもらうためにそういうことを修行でやらせてくれたりします。

ということは、現場を変えても必要とされるスキルは同じである可能性があり、新しいスキルの習得が実務でできず、スキルが固定化していく懸念があります。

コアな業務が経験できないかも

責任を負わないことの裏返しで、仕事のコアな部分の担当ができないかもしれません。
コアというのは、そのシステムの中心となる部分の実装であったり、アーキテクトだったり、クライアントと最前線で折衝したりすることです。
そこの社員として腹くくって責任を取らない(取れない)ことは普通担当することはできません。

逆にそういうことさせてる現場はなかなか綱渡りだなと思います…。

で結局客先常駐は辞めといたほうがいいのか?

私が客先常駐してた頃はまあ投稿に書いてある通り酷いもんだったなあって感じですね。

ただし、書いてきたとおり、昔と違い近年はエンジニア不足のため発注側と派遣側の力関係が逆転もしくは拮抗してきています。
働き方改革のおかげでブラックな働き方も減ってますし。
こういう思いをすることも減ってきてるんじゃないかなと思います。

別に客先常駐をあえて選ぶ必要もなければ、執拗に避ける必要もないというのが感想ですかね。

ただまあ、依然色々と無理をしがちな業界であるのは変わってないので、どこの会社でもババを引く可能性はあると思います。
そうなった場合は壊れる前に会社を移ってください。転職だけはしやすい業界なので。